SSSS 500
刻の欠片 2 《ときのかけら 2》 静かなるとき
石畳がきれいに敷きつめられた街の中心に、街を見渡すように大きな時計が建てられていた。設計者も建設者も不明だが、百年以上も前に造られたものだという。現在も正確にときを刻み、人々にときを知らせていた。
雨は音もなくしとしとと降り続き、止む気配をみせない。霧のように細かい雨粒は春の陽気に暖められて冷たさは感じない。
雨は街に人に植物に全てのものに降り注ぎ、暖かく包み込んでいた。
朝日は雨に遮られたまま、静かに夜は明け、時計台の鐘の音は雨に濡れていつもの響きはなく、おごそかに人びとのうえに染みていった。
人びとは雨に煙る窓の外に目をやり、天気を確認すると寝台から抜け出した。
雨の日はたいがいの農作業は休みとなり、休息のときとなる。
人にも作物にも恵みの雨は降り続いた。
時計は雨に煙る街を見守りながら、静かにときを刻んでいた。
